ウミウシって何?
What's sea slugs?
ウミウシは、海に住む柔らかい生き物です。
カラフルな色、ユニークな形、そして柔らかい体を持っています。ウミウシは陸上で見られるナメクジのような形状をしているものが多いのですが、外見のカラフルさはナメクジとは大きく異なります。日本近海に生息するウミウシは600種とも900種とも言われていますが、最近ウミウシファンが増えているので、観察例も多く報告されており、それ以上いると思います。
ウミウシは食用にはならないので、学術的には研究がそれほど進んでいない為、未記載種が多く存在します。
ウミウシは巻貝から新化した貝類の仲間で、貝殻を持たない裸鰓類をウミウシと言う事が多いのですが、このホームページではもう少し範囲を広げて後鰓類と呼ばれるグループ全体をウミウシとして扱っています。よって中には貝殻を持ったウミウシもいます。
後鰓類は、以下の9つのグループに分類されます。
・裸鰓目NUDIBRANCHIA(アオウミウシなど)
・嚢舌目SACOGLOSSA(コノハミドリガイなど)
・背楯目NOTASPIDEA(ホウズキフシエラガイなど)
・無楯目ANASPIDEA(アメフラシなど)
・頭楯目CEPHALASPIDEA(コンシボリガイなど)
・裸殻翼足目GYMNOSOMATA(クリオネなど)
・有殻翼足目THECOSOMATA(ミジンウキマイマイなど)
・アコクリッド目ACOCHLIDACEA
・ロドープ目RHODOPEMORPHA
多くのウミウシの仲間は新化の過程で貝殻を捨てました。しかし、ただ貝殻を捨てるだけでは外敵の格好の的となってしまいます。そこでウミウシは毒のある生物等を餌とし、その毒や化学物質を体内に蓄え、利用する事によって外敵から身を守っていることが多いのです。ウミウシの美しい体色は、警告色や隠蔽色であると言われています。
・卵 種によって産卵の時期は異なります。多くの種はリボン状の卵塊を渦巻状に産みつけますが、これも種によって異なっています。アメフラシの仲間は糸状の卵塊をケーキのモンブランのように産みつけます。このアメフラシの卵塊はウミソウメン(又はウミゾウメン)と呼ばれる事もあります。 |
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・幼生 卵から幼生が誕生するまでの期間は、種類や温度等の外的環境によってさまざまですが、1〜2週間程度で孵化するモノが多いようです。 産まれたばかりの幼生はベリジャー幼生と呼ばれ、浮遊生活をします。 ベリジャー幼生は貝殻と繊毛を持っており、プランクトンなどを食べながら浮遊生活をし、自分の餌となるモノが見つかった時に、その餌に着生し、ウミウシの形に変化します。 多くの種のウミウシで、この時に貝殻は脱ぎ捨てられますが、そのまま立派な貝殻を成長させる種類もいます。 ウミウシの仲間の一部にはベリジャー幼生として浮遊生活を送らずに直接発生(卵から孵った時からウミウシの形状をしている)するものもいます。 余談ですが、巻貝の仲間もウミウシの仲間と同様に幼生時代はベリジャー幼生として過ごします。 |
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・交接 ウミウシの仲間は移動時にその這い跡に化学物質を残すことにより、他のウミウシがその這い跡に接すれば這い跡を追いかけてウミウシに出合うと言われています。こうする事により広い海で小さく移動速度の遅いウミウシが出会うことが出来るのです。 ところでウミウシは雌雄同体です。ですから一匹のウミウシがオスでありメスでもあるのです。ですが自家受精は出来ないようになっているので、交接にて子孫を増やします。この時それぞれのオスの交接器官からは相手のメスの交接器官に精子が送られ、それぞれのウミウシがそれぞれ同時に受精します。ただし、これも種類によって若干異なっています。 通常ウミウシの生殖機関は体の右側面にあります。ですからウミウシの交接は通常は69のスタイルでお互いが同時に生殖します。希に3匹同時に生殖している場面も確認する事があります。 |
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・食性 ウミウシの食性は種類によって大きく異なります。大雑把に説明すると、コノハミドリガイの仲間やアメフラシの仲間は草食性ですので海藻などを食します。ドーリス科のウミウシは海綿類を食すものが多く、ミノウミウシの仲間はウミヒドラ類などを食すものが多いようです。もっともどこの世界にも例外がいるもので、同じウミウシの仲間の卵を食すウミウシもいますし、なんとダテハゼなど底生のハゼ類に寄生するウミウシもいます。また、食物から得た褐虫藻を利用して自ら光合成を行いエネルギーとして利用してるウミウシもいます。 |
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・住みか ウミウシの観察できる場所は、まちまちです。潮通しの良いドロップオフで観察できることが多いのですが、砂地に生息するウミウシもいますし、海藻の上で観察できる仲間もいます。体内に褐虫藻を有したウミウシは比較的水深の浅い日当たりのよい場所でよく観察できます。夜行性のウミウシなどは日中は、岩の下や割れ目の中に隠れています。 |